「せっかくお金をかけて作り直したのに、前より悪くなった」。
ホームページのリニューアルには、そういう失敗が実際にあります。しかも、失敗の型はだいたい決まっています。
検索すると失敗例をまとめた記事はたくさん出てきますが、そのほとんどは会社のWeb担当者向けで、稟議だの公開手順書だのという世界の話です。この記事では、個人事業主や小さな会社の目線で、よくある失敗5つと、発注する側が契約前にできる防ぎ方を話します。
私はホームページ制作を仕事にしていて、自分のサイトも自分で作っています。作る側から見えている失敗の構造を、正直に書きます。
失敗は「公開した日」ではなく、始める前に起きている
先に、この記事で一番言いたいことを言います。
リニューアルの失敗は、公開してから起きるのではありません。「何のために作り直すのか」を決めないまま始めた時点で、もう起きています。 デザインを選ぶ前、業者に見積もりを頼む前の段階です。
これから挙げる5つの失敗は、表面的にはバラバラに見えて、たどると全部ここに行き着きます。
よくある失敗5つ
失敗1:デザインだけ新しくなった
一番多い失敗です。見た目は今風になった。社内でも評判がいい。でも、問い合わせの数は変わらない。
原因は単純で、変えたのが見た目だけだからです。「誰に、何を、なぜうちが」という中身が前のままなら、器を替えても結果は同じです。きれいになったサイトを見て満足するのは、お客様ではなく自分たちです。
失敗2:言いたいことを増やした
リニューアルのタイミングは、「あれも載せたい、これも載せたい」が噴き出す時です。サービスも、こだわりも、実績も、全部盛りたくなる。
私自身、自分のサイトを作った時にこれをやりかけました。最初に表示される画面に時間をかけて作り込んでいったら、要素が増えすぎて、どこを見ればいいか分からない画面になっていたんです。一日寝かせて見直して、ようやく異変に気づきました。「一番訴えたいことは何か」を自分に問い直して、余計な要素を削りました。
盛るのは簡単で、削るのが難しい。でも、リニューアルの本質は足し算ではなく引き算です。言いたいことが増えるほど、お客様の知りたいことが埋もれます。
失敗3:使い勝手が悪くなった
デザインを優先した結果、スマホで見ると崩れる、電話番号がタップできない、問い合わせフォームが深い階層に沈んだ。こうなると、リニューアル前より問い合わせは減ります。
見た目の凝ったサイトほど起きやすい失敗です。確認方法は簡単で、公開前に自分のスマホで「お客様がやること」を最初から最後まで自分でやってみる。これだけで大半は防げます。
失敗4:検索順位が落ちた
リニューアル後、検索からのアクセスが激減するケースがあります。原因の代表は、ページのURLが変わったのに「転送設定(301リダイレクト)」をしていないこと。Googleから見ると、今まで評価していたページが消えて、無関係な新サイトが現れたことになるからです。
実際に見たことがあります。作り直したサイトで転送設定がされておらず、元のサイトが何年もかけて集めてきた評価とリンクを、まるごと捨てていたケースです。もったいないどころの話ではありません。
このテーマは技術的な話が深いので、別の記事で詳しく書く予定です。ここでは1つだけ。業者に「URLは変わりますか?変わるならリダイレクトはどうしますか?」と聞いてください。 明確な答えが返ってこないなら、その業者は危険です。
失敗5:自分で更新できないサイトになった
リニューアルしたら、お知らせひとつ載せるのに業者へ依頼して数千円、ということがあります。更新が面倒になり、放置され、サイトはまた古くなっていく。数年後に「また作り直すか」となる。この繰り返しです。
契約前に「公開後、自分で更新できる部分はどこか」を確認してください。
そもそも、全部作り直す必要はないかもしれません
これは業者があまり言わないことなので、書いておきます。
リニューアルの相談で「全部作り直さないとダメですか?」と聞かれることがあります。答えは、ダメじゃないことが多いです。
今あるページや記事を活かしたまま、構成を組み直す。文章を書き換える。ページ同士のリンクを繋ぎ直す。それで十分に生き返るサイトはあります。全取っ壊しの建て替えではなく、リフォームで済むケースです。当然、費用も変わります。
「今のサイトの何が問題か」が分かれば、直す範囲も決まります。問題の切り分け方はこちらの記事に書きました。


発注する側ができる防ぎ方


最後に、契約前にやることをまとめます。全部、お金がかかる前の話です。
- 今のサイトへの不満を、紙に書き出す(「古い」で終わらせず、何が困るのかまで)
- リニューアルの目的を1つに絞る(問い合わせを増やす、採用、信頼感。全部は狙わない)
- 残すものを決める(今のURL、検索順位、よく読まれているページ。資産を捨てない)
- 公開後、誰がどう更新するかを決める
- 業者に2つ質問する。「URLは変わりますか?リダイレクトは?」「自分で更新できる範囲は?」
この5つの下ごしらえがあるだけで、失敗の確率は大きく下がります。1と2を深くやる方法は、こちらの記事が参考になります。


「作り直さない方がいい」と言うこともあります
私はリニューアルのご相談を受けた時、話を聞いた結果「今は作り直さず、ここだけ直しましょう」とお伝えすることがあります。全部作り直した方が売上になりますが、必要のないものを売っても、お互いに得をしないからです。
今のサイトをどうすべきか迷っていたら、URLを添えて聞いてください。拝見して、作り直すべきか、直すならどこか、正直にお答えします。
ホームページの悩み、そのまま送ってください
「何が原因か分からない」という段階でも構いません。サイトのURLを添えてもらえれば、拝見して正直にお答えします。相談は無料、売り込みはしません。


